「鯉」には胃がないんです!食べ物の消化はどうするの?

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大きな公園や施設等では鯉を飼育していて、餌をあげる体験をさせてくれるところがたくさんあります。
いざ餌を購入して池に近づくと、それだけで鯉がひくほど集まってきたり、ちょっとでも餌をまけば鯉の密度がとんでもないことになったり。
いくら人に飼われているからといってもちょっと無警戒、食べ過ぎだと思ったことはありませんか?
あんなに餌に集まるのは、実は鯉の体のつくりと特性に秘密があるのです。
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鯉の胃
鯉には胃が存在しないのです。
そのため食道から直接、腸に繋がっています。
人間からしてみればびっくりですね。
腸の入り口付近がわずかに胃の役目を果たし、胃液と似たような成分の消化液を分泌しているようですが、それだけではまったく胃の機能をもっているとはいえません。
ところで、胃の役割には食べ物の貯蔵、消化の2つがあります。
胃袋である程度食べ物を貯蔵することで、満腹感を感じ、また野生下であればその貯蔵で食いつないでいくことになります。
そして大きな役割である消化。
強酸性の胃液を分泌することで食べ物をどろどろに溶かし、胃袋そのものが動くことでさらに食べ物をペースト状にして、次の消化管に送り込みます。
では、これほど重要な役割を持っている胃がない鯉はどうなっているのか見ていきましょう。
胃が無いとどうなるか
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まず満腹感が抑えられるので、冗談みたいに餌を食べます。
そして食物が胃で止まらないので恐ろしい勢いで消化されて排泄されます。
常に餌を探しているのはこういうことなのです。
また、鯉は胃の代わりに短期間なら腸で食べ物を貯蔵することができるので、最悪それが満杯になるまで目一杯食べます。
ここで問題なのが、鯉が何でも食べてしまうこと、大変生命力が強く20年は生存し巨大化することです。
鯉はいっそ悪食と呼ぶべきであるほど何でも食べます。
水中にさえあれば肉から昆虫、藻、在来の魚、泥中のミネラルまで何でもです。
釣り餌に食パンや芋を付けたって食いついてきます。
市街地の汚れた川に鯉の姿がよく見えるのは、鯉が川の生態系の頂点に君臨し何でも食べ、汚染された環境にも適応するからなのです。
大きな脅威であるので、世界自然保護連盟の侵略的外来種ワースト100にも選ばれています。
外国でもその悪食は猛威をふるっているのです。
消化にもデメリットがあります。
食道から消化液を分泌し、腸で消化をしますが胃の機能と比べると劣ります。
そのため冬眠明けの食事で下手をすると死んでしまうのです。
どういうことかというと、冬眠中は体の機能の一部が停止しますが、消化液もそれに含まれます。
冬眠明けの寝ぼけた状態で堅い物を食べようものなら、消化液が十全に働かないので消化不良、未消化の状態で消化管を通り抜けてしまいます。
胃があればまだ腸に負担がかからないのですが、なければそうはいきません。
体調を崩してしまうのです。
そのため錦鯉(にしきごい)を飼育している人達は、冬眠明けには柔らかいものを食べさせているようです。
無胃魚(むいぎょ)
このように、胃が無い魚のことを無胃魚(むいぎょ)と呼びます。
なぜ胃が無いのか理由はわかっていないようです。
体を軽くする説や、そもそも餌やミネラル分が周りに豊富にあったため食いだめの必要性が無かった説などがあります。
鯉の他には、フナ、メダカ、サンマ、トビウオ、フグ、金魚などが無胃魚です。
身近な魚にも結構無胃魚がいるんですね。
ちなみに、サンマの内臓がおいしいなんて言われるのは胃が無いから、消化管に未消化の物が残りにくく、苦みと言えば胆汁のものくらいだからです。
一度新鮮なサンマで試してみてはいかがでしょうか。
さいごに
ということで、鯉は無胃魚、それもあって大量に餌を食べるんです。
さらに圧倒的な生命力で何でも食べつくしてしまうとは恐ろしいものです。
今鯉を飼育している人は、在来の生態系を守るためにも絶対に川や池に放さないでくださいね。
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